給食の営業開発活動をする中で、今年の春ごろからよく耳にする話題が「現在、契約している業者さんが契約解除を申し入れてきたので新しい給食会社を探している」です。
話を聞くと共通する要素があります。
それは給食会社から「委託費等見直しの動き」があったこと、「給食会社が契約を継続することに固執しない」ことです。
私たち給食会社の立場からみれば、昨今の人件費や食材費の高騰を価格に転嫁しなければ経営が成り立ちません。
ですから価格見直しの動きについてはお客様も理解が出来るのですが、契約継続にこだわらずに契約解除まで至る点については、そのスピード感や結論の唐突さに驚かれているお客様も多いようです。
実際、「こんなことになるとは予想外だった」という話を私も聞いています。
しかし、給食会社から見れば、条件が見直されなければ契約解除やむなしという状況は決して不自然ではありません。
例えば、人件費の高騰は、毎年のように施行される最低賃金の改訂にともなう上昇をみれば明らかです。
特にここ数年の最低賃金の上り幅は、毎年約50円程度。
6時間働くパートさんを10人抱えている食堂ならば、一人当たり一日300円のアップ、10人で一日3,000円。
月間20日間の営業日数なら、3,000円×20日で月60,000円の上昇になります。
ひとつの事業所で年間720,000円の上昇をカバーするには、概算でこの十倍以上の売上のアップが必要となります。
ここで給食特有の問題に直面します。
それは、対象となる客が限定されているため、売上のアップが見込めないことです。
要するに企業努力ではどうしようもなく、ご契約いただいているお客様への値上げの要請しか手が残されていないのです。
いうまでもなく給食会社は、営利の企業体です。
給食事業は安定した事業で、これまでの緩やかな人件費と食材費のアップであれば耐えられたのですが、昨今の急激な社会情勢の変化には持ちこたえられなくなってきています。
給食会社の経営破たんによって学校給食が停止されたというニュースは記憶に新しいところです。
経営破たんを避けるためには契約解除もやむをえない、というのが現在の給食会社のスタンスになりつつあります。
とはいえ食堂の担当者の方からみれば、いきなり2ヶ月後に撤退しますといわれても対応が難しいところです。
そのため、現在契約している給食会社にいつもとは違う動きがあったらコンタクトを取って動きを探ってみること、同時に他の給食会社とのコネクションをもって契約解除に備えることが、食事提供の停止という最悪のシナリオを回避するために必要なのです。