寒さと乾燥が続くこの時期。
コロナも新しい変異株が次々に出てきて、まだまだ収まる兆しが見えません。
さらにインフルエンザも同時流行していて、コロナとの同時感染というニュースも耳にします。
どちらか1つでも大変なのに、一度に感染とは想像するだけでも辛いですね。
そんな中、一般の方の食事を見ていて目立ったのが「ビタミンA」の不足。
国民栄養調査の数字を見ても、平均的に足りておらず、30代以上の働き盛りの男性においては、1日650μg(レチノール当量)の必要量に対して100〜150μgもの不足があるという現状です。
ビタミンAを十分摂っておくことは、粘膜を整えて皮膚の乾燥を防ぎ、免疫力を高めることに繋がります。
どんなに予防を徹底しても、もはやいつどこで感染してもおかしくない状況下。
ワクチン摂取も大切ではありますが、自らの抵抗力を上げることこそが何より大事です。
ところで、ビタミンAにはたくさんの種類がありますが、大きくは「レチノイド」と、体の中で変化して同様の働きをする「プロビタミンAカロテノイド」の2つに分けられます。
「レチノイド」が多いのは、鶏肉、卵、うなぎ、あるいは肉のレバー類などの動物性の食材。
「プロビタミンAカロテノイド」の1つである「βカロテン」は、主に色の濃い野菜類に多く含まれます。
最終的にどちらも同じ働きをしてくれますが、「レチノイド」の多い動物性の食材が増えると、たんぱく質や脂質が増えてバランスが悪くなってしまいます。
こちらはプラスαをするのではなく、メイン料理の1品としてこれらを定期的にチョイスする、という感覚が良いでしょう。
またビタミンAには過剰症もありますが、食材の中で特化して多い豚や鶏のレバーは、100gで1日の上限値の4倍以上の量を含んでいます。
そのため、不足を心配してレバー料理を毎日食べるのは、リスキーな方法です。
レバニラなどのメイン料理で食べる場合には、週1回までを目安にしたいですね。
そしてサプリでビタミンAを摂る場合、メーカーさんの1回量を守って飲むことが大切になります。
良いものだから…と安易に増量してしまう方もいますが、増やしたから効果が上がるという訳ではありません。
手軽な物こそ適量に留めるのがポイントです。
一方、野菜などに含まれるβカロテンは、レチノールに変換すると12分の1の量になります。
普通の食事から摂る量であれば3000μg(レチノール当量)の上限値に達する可能性は低いですし、βカロテンの形で摂る上では過剰症は確認されていません。
βカロテンそのものに抗酸化作用などの他の健康効果がある事を考慮しても、βカロテンの多い野菜類をしっかり食べて、ビタミンA補強するのがお勧めです。
では、どんな食材を食べたら、不足している100〜150μg(レチノール当量)を補給できるのでしょうか?
これは迷わず、緑黄色野菜!
そもそも緑黄色野菜は、100gあたりのβカロテンが一定量以上含まれる物、あるいはそれ以下でも1回に食べられる量が多い物、というのが基準です。
当然ながら、これを使うと効率的に補うことができます。
そんな中でも、手に入れやすく、この時期に食べてもらいたい緑黄色野菜をピックアップしてみました。
★かぼちゃ
かぼちゃの煮物2切れ(80g)で約250μgのビタミンAが補給できます。
ビタミンE豊富で、抗酸化作用を強化できるのも嬉しい点。
そぼろあんをかけたり、サラダやスープにしても、かぼちゃをたっぷり食べられますね。
ほうとうのように、麺類にゴロゴロ入れて煮込みうどんにするのも、寒い時期に身体温まる食べ方です。
★ほうれん草
色濃いほうれん草にもβカロテンがたっぷり。
年中出回る野菜ですが、本来は寒い季節が旬です。
甘みが増して美味しいので、是非この時期に積極的に味わいたいですね。
こちらもお浸しの小鉢1つ分で約250μgと、かぼちゃの煮物1つ分に相当します。
胡麻和えやナムルの他、ソテーしても火の通りが良く手早く調理できます。
ビタミンAは脂溶性なので、胡麻やごま油など少量の油との組み合わせは、吸収を良くして相性バッチリです♪
冷凍ほうれん草もビタミンAは減らないので、生を使うのはハードルが高い場合は冷凍を使うのもOK。
麺類のトッピングに、味噌汁の具に…とちょい足ししていけば、2品程度で不足分が補えます
★人参
人参のβカロテン量は緑黄色野菜の中でも群を抜いていて、かぼちゃやほうれん草の倍以上。
煮物やカレーに多めに入れるのも良いですが、確実に補いたいなら人参をメインに使ったシリシリや金平がお勧め。
1品(人参70g使用)で500μg以上のビタミンAが摂れます。
なかなか色の濃い野菜を食べる機会がない方は、ぜひ取り入れてみて下さい。
また、私はある時人参を大量に購入してしまい、消費するためにドレッシング漬けを作ったのですが…それが家族に大好評!
生野菜に漬け汁ごとトッピングしたり、ブロッコリーの調味料代わりに使ったりと予想以上に便利な1品でした。
これを乗せるだけで色鮮やかに栄養価もアップするため、忙しい朝食にも大活躍しています。
作り方は千切りにした人参をお好みのドレッシングに漬けておくだけ。
サラダの彩りとして年中トマトを使う方が多いですが、身体を冷やす作用が強い野菜です。
人参には温める力があり、体温が下がりにくい点も免疫力向上に有利になります。
そして、色の濃い野菜が苦手…という方は、果物のチョイスに注目!
柑橘類などの果物にも、βカロテンが含まれています。
中でもお馴染みの「みかん」に多く、100g(やや大きめ1個)で85μg(レチノール当量)程度。
2個食べれば不足分を補える計算です。
他の柑橘類の中でも「セミノールオレンジ」や「せとか」のような濃い色の物ほどβカロテンが多い傾向があるので、迷ったら色の濃い方を選ぶと良いですね。
野菜を充実させにくい朝食に、色の濃い柑橘類を添えて免疫力を高めつつ、1日をスタートさせてはいかがでしょうか?
油断すると減ってしまいがちなβカロテンも、効果的な食材を使えば意外と簡単に補えるものです。
免疫力を高め、ウイルスに負けない身体にしておけば、ウイルスとの共存も怖くないですね。
毎日の食卓に色とβカロテンを足して、これからの時代も元気に過ごしていきましょう!
エミ