「もったいない」食品ロスを見直そう!豊かなこころで豊かな食生活を

人が生きていくために不可欠な「食べる」営み。

かつて粗食と言われていた日本も、飽食の時代と言われ始めてから随分と時が流れ、この40年で食生活や社会環境は大きく変わりました。

特に1970年代から1990年代にかけては経済的に豊かになったこと、また世界各国との関係が広がったことで食品の輸入も増え、街中に外食産業が発展しました。
今では多くの人が、いつでも、食べたいものを食べたいだけ食べられる、という環境にあります。

しかしその裏で年間どれ程の食品ロスが生まれているか、皆さんはご存知でしょうか?

 

食品ロスとは、食べられるにもかかわらず廃棄される食品のことです。
2018年の節分に大きなニュースとなった恵方巻きの大量廃棄は、皆さんも記憶に新しいことでしょう。

今回は誰しもが直面する問題である食品ロスについて、毎日何かを口にしている立場からだけでなく、毎日お食事を提供している立場からも、その状況と削減のためにできることは何か考えてみました。

我が国の食品廃棄物等は年間約2,759万トン。
そのうち食品ロスは、なんと643万トン(農林水産省及び環境省「平成28年度推計」)に上ります。
日本人1人当たりに換算すると、年間およそ51kg、毎日茶碗1杯分の食品を捨てていることになります。

これは、国連世界食糧計画(WFP)による世界の食糧援助量(約320万トン/年間)の約2倍に相当するのです。

世界では食べることに苦しむ人々が約8億人もいると言われている一方、6割以上の食料を輸入している私たち日本人が、まだ食べられるものを毎日大量に捨てているのです。
そしてこれらを含む一般廃棄物の処理費には、年間2兆円もかかっているのです。

食品ロスの内訳は、一般家庭からの家庭系廃棄物由来が291万トン、食品産業からの事業系廃棄物由来が352万トンです。
どちらも五分五分ということから分かるように、食品ロスの削減には家庭、事業者双方の取り組みが必要となってきます。

それでは、食品ロスの中身について具体的に見てみましょう。

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【家庭系廃棄物】

  • 「食べ残し」・・・言葉の通り、食べ残して捨ててしまうもの。
    人参が嫌い、味付けがイマイチ、作り過ぎてしまった…、など理由は様々。
    少量かもしれませんが、塵も積もれば…。
  • 「手つかず食品」・・・購入したものの使い切れずに期限が来てしまった、購入したことさえ忘れて期限が来てしまい、開封もせず捨ててしまうもの。
  • 「過剰除去」・・・野菜や果物の皮の厚剥きのように、食べられる箇所まで余分に取り除いて捨ててしまうもの。
    皆様の中にもきっと一つ二つ、思い当たるものがあるのではないでしょうか?

 

【事業系廃棄物】

  • 一つ目は“製造・卸・小売業者”由来の製造・流通・調理過程で発生する「規格外品」「返品」「売れ残り」。
    形の悪い野菜、パッケージが傷ついてしまっただけの商品、賞味期限を見越しての返品、恵方巻きの売れ残り…、など。
  • 二つ目は“外食事業者”由来の「提供過程」「仕込み過程」「仕入・保管過程」での廃棄。
    その中でも五割以上を占めているのは「提供過程」のお客様の食べ残し。
    多い順に宴会、披露宴、食堂・レストラン。
    事業者側の仕込みのし過ぎも四割弱。

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事業系廃棄物の一部は食品リサイクル法に基づき肥料・飼料にリサイクルされていますが、ゴミが雑多な家庭系廃棄物は、リサイクル化が進みません。

では、どうしたら削減できるのかを考えてみましょう。

 

【家庭でできる工夫】

家庭内で食品ロスを減らすことは、家計の消費支出の実に4分の1を占めている食費の出費を減らすことに直結しています。

 

☆お買い物時のポイント

事前に冷蔵庫や買い置き食材をチェック!
  • メモ書きや、忙しい時には冷蔵庫内を携帯電話で撮影した画像なども有効です。
  • 「いつか食べる」食品は食品ロス予備軍。
    食材をチェック後、残っている食材を使うような献立を決めてからお買い物をすると、買い過ぎを防げます。
必要な食材をこまめに買い足す!
  • 肉や野菜などの生鮮食品を必要以上に買った場合は、小分けにして冷凍し、いつ、何を冷凍したかを冷蔵庫の扉などにメモしておくと、行方不明にならず更に有効です。

商品は手前に陳列されている物を!
(※そうすることで、スーパーから出る食品ロスを減らすことにもつながっているのです)

  • 家庭での使用予定に合わせて、賞味期限、消費期限を確認しますが、すぐに使うもの、よく料理するのでじきに使い切るものなども、陳列棚の奥の期限の遠い物を選ぶ必要はありません。
    あえて手前の物を選び、すぐに使い切る癖をつけることも有効です。

 

☆調理時のポイント

作りすぎない!
  • 自分や家族の食べる量を把握することで、美味しいうちに食べ切りましょう。
好き嫌いは調理法を工夫して、食べ残しを防ぐ!食べられた喜びにも繋がります!
  • 苦手な食べ物は、細かく刻んでチャーハンやハンバーグに入れたり、香りの強いカレーに混ぜたりすることで、食べ残しを減らせます。
それでも残った時には、別の料理にリメイク!
  • ひと手間加えて新しい料理にするとマンネリ感も少し変わります。
    たくさん作りがちなカレーは、麺類と合わせてみたり、パンのせて、チーズをかけてトーストすれば、朝食にもオススメです。
捨てる部分を減らす工夫を!
  • ピーラーなどを使ってなるべく薄く剥きましょう。
    人参やりんごなど、皮に栄養を含むものも多く、そのまま食べられるものは皮を剥かずに食べると一石二鳥です。
  • 普段捨ててしまっている部分(皮、茎、葉など)が使えないか、捨てる前に考えてみましょう。
    ブロッコリーの茎の炒め物、大根の皮のきんぴら、魚のアラ汁、鮭の皮をパリパリに焼いてお茶漬けにトッピングするなど、美味しい食べ方が色々あります。

 

【事業者ができること】

既に、各企業側も様々な取り組みをしています。

例に挙げると、お醤油容器の二重構造で鮮度を保持する工夫、一人前ずつの個包装で食べ残しを防ぐ工夫など、使ったことのある方も多いのではないでしょうか。
また最近では、大手コンビニエンスストアでも、期限間近の商品の値引き販売を採用しています。

私たち委託給食会社として取り組んでいることには、次のようなものがあります。
食品ロスを減らすことで、お客様に提供するお食事の内容もこころも、より豊かなものにすることができるはずと考えています。

  • お客様の嗜好や出勤形態の把握、天候や季節行事などを考慮することで、仕込み過ぎによるロスを減らす。
  • できるだけ作りたてで温かいお食事を提供することにも繋がるので、来客数を見ながら追加で調理を進め、作り過ぎによるロスを減らす。
  • 大盛り、小盛りを用意する、お客様ご自身でご飯をよそっていただくなど、個人の食べる量に合わせた提供ができるよう工夫する。
  • メニューの組み合わせ(メインと小鉢など)をバリエーション豊かなものにし、食べ残しを減らす。
  • 過度なサービスによる提供し過ぎ、取り過ぎによる食べ残しを減らす。

 

これまでお話ししてきた食品ロスの実情を踏まえ、令和元年10月1日「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されました。

ようやく削減を推進する動きが始まったばかりですが、ほんの少しだけ「もったいない」の意識を持って、毎日の食生活もこころも、より豊かなものにしていきたいものですね。

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