
給食運営には、運営方式の点で大きく分けて二種類あります。
ひとつは自営(直営)方式。
企業や法人が食堂運営に係る人員を直接採用して運営する方式です。
もうひとつは委託方式です。
食堂運営を委託契約した給食会社に任せる方式です。
双方ともにメリット・デメリットがあるので優劣はありません。
ただ、直近20年ほどで自営方式はかなり減っているようです。
まだ老人ホームや保育所等の福祉施設では自営方式を採られている法人はありますが、企業の社員食堂については、私の印象になりますが9割以上が委託方式を採用しているようです。
なぜ、社員食堂の委託化が進んだのか。
いろいろな理由が想定されますが、私が営業の最前線で聞いたところでは、「労務管理の煩わしさ」がもっとも多い理由でした。
たとえば食堂に勤めるパートさんが風邪をひいたとき、委託方式では給食会社が対応するため企業の担当者は何もしなくていいのですが、自営方式では担当者がなんとか解決しなければなりません。
「他のパートさんに出勤してもらう」「その日限定で弁当を提供する」等の対応策が考えられますが、私が面談していただいている企業の担当者様は、自ら厨房に入る、自ら弁当屋周りをして確保する、という方もおられました。
いずれにせよ厨房業務にタッチすることによって失われるのは、本業に係る時間と労力です。
社員食堂は福利厚生に当たります。
福利厚生は大切なものでありますが、それをカバーするために本業が疎かになるのは本末転倒です。
委託方式は委託管理費というコストが発生します。
そのコストをかけても社員食堂の労務管理その他のわずらわしさから解放され、担当者の労力と時間を本業に充てたいと考える企業様が多く、その結果が社員食堂の委託化の進行なのです。
社員食堂の運営はプロである給食会社に任せ、その管理監督のみを行うのです。
委託化によって労務管理業務の低減だけでなく、給食に通じた栄養士作成の栄養バランスの取れた献立や美味しいお食事、プロ目線の安全衛生体制等のメリットを享受できるのです。
一方、自営でやられている法人の担当者様からは、「給食会社に支払う委託管理費は高い」という話もよく聞きます。
確かに月額何十万から何百万という額は大きいかもしれません。
ですが中身を見ていただくと、委託管理費のほとんどを占めているのは人件費とその他経費、つまりコストです。
そのコストは自営であれ、委託であれ、ほぼ同じです(人件費は安くなる傾向があります)。
となると、違うのはマネジメント料となる「一般管理費」だけになります。
そこで、何百万の委託管理費全体を見るのではなく、内訳の一般管理費の額を確認して、コストに見合うかどうかを判断するのです。
一般管理費の額を追加で負担するだけで、食堂管理の煩わしさから解放され、安全で美味しい栄養管理された献立にもとづいた食事提供が実現されるのです。
自営にこだわっておられる企業様や法人様は、給食会社の提示する委託管理費の額を「高い」と拒否するのではなく、そのうちの一般管理費に着目して委託化の検討をしてみてはいかがでしょうか。