高血圧が気になる人のための食生活改善5つのポイント
現在、成人の半数近くが高血圧症にかかっていると推定され、特に中高年層に多くみられます。
高血圧は血管の寿命を縮める重要な危険因子です。
症状がないために軽く考えがちですが、そのままの状態を放っておくと動脈硬化が進み、ある日突然心筋梗塞や脳卒中に至ってしまいます。
特に高血糖、高脂血症、内臓脂肪蓄積型肥満などと合併するとメタボリックシンドロームと呼ばれ、心筋梗塞や脳卒中に起こす危険が3倍になると言われています。
さて、前に給食会社の栄養士による、減塩で高血圧を予防するお話をいたしました。
今回は給食会社の調理師が食生活を改善する事で高血圧を予防できる、5つのポイントをお話ししたいと思います。
1.一日の塩分摂取量は6g未満が理想
塩分と高血圧の関係は今迄の研究により良く知られていますが、高血圧の治療においては食塩制限が重要で治療ガイドラインでは一日6g未満を推奨しています。
日本では塩分摂取量が多く、一般の塩分摂取量については男性8g、女性7gとされています。
しかし、欧米などのいくつかの国では一般の成人も6g未満を推奨されています。
WHO(世界保健機関)では、全ての成人目標を5gにしました。
食塩制限は正常な人にとっても、高血圧の予防に意義が大きいと考えられています。
- だしのうまみを利用する。
- 減塩調味料に変えてみる。
- 減塩の物足りなさを酢や柑橘類の酸味でカバーする。
- スパイスなどでアクセントをつける。
- とろみで味を残す。
- 油でコクをつける。
- 味噌汁などは一日一杯までにする。
- 漬物類は量を減らす。
- 味付けされたおかずは卓上調味料を使用しない。
- 麺類は汁を出来るだけ残す。
2.積極的に野菜と果物をとる
野菜には、血圧を下げる作用のあるカリウム、マグネシウム、食物繊維が多く含まれています。
特にカリウムはナトリウムの排泄を促す作用があります。
【ナトリウムの塩分目安】
ナトリウム100㎎=塩分0.25g
野菜の摂取目安は調理前の野菜換算で、成人(15才以上)は一日350g以上が目標とされています。
カリウムは野菜類、キノコ類、海藻類、果物類、イモ類など様々な食品に含まれていますが、水に溶けやすく調理の過程で煮汁に溶けてしまいますので、薄味に調味して汁ごと食べることをおすすめします。
- 海藻サラダ
- 野菜たっぷりスープ
- 豚汁
- キノコのホイル焼き
など、干した物や生で食べられる物は効率的に摂取できるようです。
(注)心臓疾患や腎機能低下などで治療、通院されている方は野菜や果物の摂取は、医師の指示に従ってください。
3.肥満の解消
肥満の方は過食のため、塩分摂取量も増えていると考えられています。
それを薄めようとするために血管内に水分が増え、血圧が上昇します。
また、過食のためインスリンが過剰に分泌され、交感神経が刺激されて末梢血管が収縮される働きがあることから、更に血圧が上昇してしまいます。
4.アルコールの節制
アルコールは血圧を下げると言われていますが、過度の摂取は逆に血圧を上昇させてしまいます。
過度に飲酒をする方が節酒することで、1・2週間程度で血圧が低下する事が確認されており、女性よりも男性の方が特に効果が出るという報告もあります。
多くの研究から日々の飲酒量が多い人ほど血圧の平均が上がり、高血圧になるリスクが高まることがはっきりしてきました。
日本高血圧学会などのガイドラインでは、男性はエタノールに換算して一日30ml、女性はその半分の量に制限する事を勧めています。
お酒に含有するエタノール30mlの目安は、日本酒一合、ビール大瓶1本、ワイン2杯です。
ただ、少量の飲酒なら心臓の血管を保護する効果があるようです。
また、ストレス解消や人間関係を円滑にしたりするメリットもあるため、飲酒は上手に付き合っていくことが大切です。
5.コレステロールや飽和脂肪酸の多い食品は控える
コレステロールや飽和脂肪酸は、血中のコレステロールや中性脂肪を増やします。
それにストレスやビタミン不足、たばこ等の有害物質がプラスされると活性酸素が増えて動脈硬化が進み、高血圧も悪化します。
- 鶏卵
- 魚卵
- レバー類
- 肉など
- ラード、牛脂など
- 生クリーム
- チーズ類
- 肉類
- ココナッツミルク
また、これにストレスやビタミン不足、たばこ等の有害物質が加わると動脈硬化が促進して高血圧も悪化します。
【まとめ】
高血圧とは最高血圧が140mmHg以上、もしくは最低血圧が90mmHg以上の状態を指します。
初めにも言いましたが、血圧が高くなって血管に負担がかかり続けると、心筋梗塞や脳卒中を起こす可能性があります。
こうした事態を招かないよう前回、今回とお話しした事を参考に、食生活を見直してみてはいかがでしょうか?
もちろん食生活だけではなく、適度な運動を行ったり、不摂生な生活習慣を改善したりする事も大切です。