リオオリンピックでは多くのアスリート達が、日々の稽古やトレーニングの成果を発揮し、最高のパフォーマンスを見せてくれました。
オリンピック選手に限らず、アスリート達は最高のパフォーマンスを発揮する為に、日々の稽古やトレーニングに加えて、食事にも気を配っており、競技別に食事内容を変えています。
また、そんなスポーツをする人のサポートの為の栄養学である「スポーツ栄養学」の分野も日々進化しています。
アスリートでなくとも、運動を楽しんでいる方々はたくさんいらっしゃいますが、私達が運動を行い、健康的に過ごす為に、食事で気をつけたいポイントとアスリート達が気をつけている食事のポイントと共通するポイントがあります。
その中の一部をご紹介したいと思います。
◎運動後翌日に疲れを残しにくい食事法
気持ち良く運動した後、翌日に体がだるい、重い、筋肉痛が辛いなどの声をよく耳にします。
それを少しでも軽減する方法として、運動の強度によりますが、運動後いかに早く食事を摂るかが大きなポイントになります。
運動時間や内容によって異なりますが、運動する事により、筋肉がダメージを受けます。
また、体のエネルギー源となるグリコーゲンが枯渇します。
その為、筋肉を構成するたんぱく質の補給や、エネルギー源となる糖質の補給をする事が必要です。
それが不足すると、体の回復が滞り、疲労感や倦怠感に繋がります。
また、もう一つの三大栄養素である「脂質」ですが、エネルギー源として有益でありますが、エネルギーに変わるまで、糖質より時間がかかります。
その為、長距離走や水泳など持久力が特に必要な競技は、脂質によるエネルギー補給法も押さえたいポイントになります。
<まとめ>
☆運動後出来るだけ早く栄養補給を行う
☆糖質、たんぱく質、脂質の三大栄養素をバランス良く摂取する
◎運動後すぐ食事をとれない場合の対処法
前述で、運動直後の栄養補給が大事であるとお話しましたが、実際には、着替えたり、帰宅までに時間がかかってしまったりと、実践するには難しい方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、水分による栄養補給をおすすめします。
スポーツドリンクには、運動中に失われがちなミネラルや糖質を補給する事が出来ます。
また、オレンジジュースなどのフルーツジュースや、お酢などが入ったバーモンドドリンクもおすすめです。
オレンジジュースには、糖質だけでなく、ビタミンCやビタミンB1、クエン酸を含みます。
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素の一つです。
また、クエン酸は、疲労物質である乳酸を分解する働きがあります。
そして、クエン酸やお酢に含まれる酢酸は筋肉に存在する筋グリコーゲンの合成を促進させます。
運動後に何気なく「水」や「お茶」を飲んでしまいますが、体の回復を考えるとスポーツドリンクやオレンジジュースなどがおすすめです。
ですが、スポーツドリンクやオレンジジュースは糖質が多いので、飲みすぎには注意し、適度に摂るようにしましょう。
<まとめ>
☆運動後すぐ食事を摂れない場合は、水分で足りない栄養素を補う
☆用途に応じて、スポーツドリンクやオレンジジュース、バーモンドドリンクを取り入れる
◎たんぱく質を摂る際に気をつけたいポイント
筋力トレーニングや、運動している人には、たんぱく質の摂取が大切だと考え、プロテインや低脂肪の鶏肉を積極的に摂っているという方も多いようですが、ここでワンポイントです。
筋肉を構成するたんぱく質ですが、そのたんぱく質を構成しているのがアミノ酸です。
このアミノ酸は約20種類あり、その20種類のアミノ酸のバランスが良いほど、たんぱく質の合成が効率よく行われます。
その為には、動物性と植物性のたんぱく質をバランス良く摂る事が必要です。
それに加えて、たんぱく質合成に必要なのは、ビタミンB群、特にビタミンB2、B6です。
出来ればサプリメントに頼らず、食品から摂取しましょう。
<ビタミンB2を多く含む食品>
レバー、鶏卵、鰤、納豆、モロヘイヤ、舞茸など
<ビタミンB6を多く含む食品>
レバー、鶏ささみ、鮪、鰹、にんにく、ニラ、くるみなど
ここで注意して頂きたい点があります。
筋肉をつけたい、運動後だから大丈夫とたんぱく質を摂りすぎると、腎臓に大きな負担をかけます。
この習慣が続くと、腎機能が低下し、腎不全の原因の一つになりますので、適量のたんぱく質摂取を心掛けましょう。
<まとめ>
☆植物性と動物性のたんぱく質をバランス良く摂る
☆ビタミンB群も併せて摂る
☆たんぱく質の過剰摂取に注意する
◎最後に
今回、スポーツ栄養学の一部をお伝えしましたが、アスリートではない私達にも有益な情報があったかと思います。
健康維持の為には、運動はかかせません。
その運動を続ける為にも、食事を効果的に摂り、毎日すこやかに過ごして頂きたいと思います。
現在、ダイエットや健康に関する情報があふれていますが、ご自身の体と生活スタイルにあった食事方法をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
(参考文献)
吉岡有紀子(2014)『栄養の基本と食事の教科書』池田書店