先日私が友人から聞いた話です。
友人の息子さんは、現在専門学校の2年生、就職活動真っ最中とのこと。
就職先候補の中から何ヶ所かに研修に行くそうです。
夏に行った研修先は、研修期間が3週間。
研修とは言え、作業をこなし、お客様対応をし、覚える事も山ほどある実務に加え、家ではやったことのない洗濯を毎日行い、お風呂を沸かし、部屋の掃除から布団の上げ下げ等々・・・。
研修実務そのものと、慣れない「生活」の大変さに、覚悟はしていたものの、当初からかなり参ってしまったそうです。
しかし、研修中の朝・昼・夕の食事は、お客様も利用するレストランのメニューから好きなものを食べ放題!しかも無料!と言う好待遇だったそうで、猛暑・酷暑と言われた今年の夏、初めての研修、初めての生活で痩せ細って帰って来るかと思っていた知り合いの心配を他所に、帰ってきた時は2kg体重が増えていたそうです。
研修から帰ってきて、その子がしみじみと言った言葉が「ご飯を出してくれて本当に助かった」「ホント、ご飯が楽しみだった」聞けば、研修では担当者や先輩に何度も厳しく注意され、果ては指導すらしてもらえない事も何度かあり、環境の変化による寝不足や慣れない生活も相まって、35℃を超える炎天下、精神的にも肉体的にも限界を感じ、投げ出して帰りたくなったこともあったそうです。
しかし、食事の時間に冷房の効いた食堂で、社員さんや他の研修生と一緒に、雑談をしながらご飯を食べると、気持ちがリセットされ、前向きな気持ちも生まれ「さあ!午後も(明日も)頑張るか!!!」と言う気持ちになり、なんとか3週間の研修を無事に乗り切ったそうです。
つくづく思いました。
「食事の時間」と「食べる事」って大事なんだなぁと。
本能に基づく「食べる」という行動とは言え、糧という意味だけに留まらないのは周知のことです。
食事の時間は、自然と頬は緩み笑顔になります。
単に空腹を満たす為だけで無く、楽しみ、リフレッシュ、コミュニケーションや親睦の深化等、様々な意味要素を含んだ食事時間。
食堂フロアで大勢が集まって食事をすること、もしかしたらひとつ場所に集うことによる「安心感」や「一体感」が、より一層満足感や幸福感を増しているのではないでしょうか。
1人の食事は味気ない・・・とはよく聞きますし。
そんな周りの方の明るく元気な空気に触れ、触発されることによって、失敗して落ち込んでいる方も、上司や先輩から注意を受けて沈んでいる方も、旨くいかずにイライラしている方も「さあ、また頑張るか!」と言う気持ちに切り替わるのではないでしょうか。
多くの食堂フロアと厨房は、カウンター開口部でつながっていて同じ空気が流れています。厨房にいる私たちからも、お客様の表情はよく拝見出来ます。
楽しそうな表情、笑顔、満足そうに食事を取られている姿、その雰囲気、様子から私たちも元気、やる気、喜び、充実感を頂いています。
食堂フロアと厨房、お客様と厨房スタッフ、食事時間は相乗効果によって笑顔と幸福感に溢れています。
これこそが元気の源。
物質的・栄養的なエネルギーは勿論、やる気、元気、前向き、そんな気持ちのエネルギーの源だと考えます。
これからもパワーの源をお届けできるように、お客様からパワーの源をお返し頂けるように、食事内容・味・サービス・雰囲気を含め、日々一生懸命、最大限の努力を1食に込めて提供して参りたいと思います。
ここからは余談です。
先の研修時に、食事の時間に救われた(?)その息子さん、専門学校で学んでいる仕事ではなく、なんと調理の仕事に就く!・・・とはなりませんで、ドラマや小説とは違いました。
この冬も類似の職場研修に行っているそうです。
今度のところは「朝・昼・夕の食事は各自で用意」だそうで嘆いていたらしいですけど。
それでも「行ってきます!」と元気に向かわれたとか。
食事の大切さ、みんなで食べる幸福感、再び実感されるでしょうね。
頑張って下さい!